SSブログ

こんな時にこそ読んでほしいおすすめ本…西の魔女が死んだ [本]

S__40157205.jpg


どうして今まで気になりながら読まなかったのだろう
でも、この時期に出会ったからこそ逆に胸に染み入るような気がするそんな
一冊を見つけました。

ずいぶん前に映画にもなったこの本。
子供向けかなとその時思ってしまったのか、どうしてか距離を置いていた一冊を
図書館で偶然手に取りました。

西の魔女が死んだ。
こんな言葉から始まるこの本は、思春期真っただ中で登校拒否になった女の子が
数週間、おばあちゃんの家で過ごすことになるお話。

中学生の課題図書といわれるだけあって、読みやすく、そして
自然にすっと胸に響く優しい文章。
そしてこの西の魔女と呼ばれるおばあちゃんから紡ぎだされる言葉の魅力的なこと。

おばあちゃんは、まい(主人公の女の子)に対してとても丁寧に大人相手のように
話をする
これは、おばあちゃんがイギリス人であることで、丁寧な言葉をおぼえているからか
あちらの人らしく、小さな孫でも一人前の人として扱うということが徹底しているからか
わかりませんが、これがとても心地よい。

人とうまくやっていけない、というこの女の子に対するおばあちゃんの言葉に
私たちも、学ぶことがいっぱい。
それは、とても基本的なことであるけれど、人が生きていく上に一番大事なこと。

自分が楽に生きられる場所を求めたからと言って、後ろめたく思う必要は
ありませんよ
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからと言って、誰がシロクマを
責めますか

悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、一番大切なのは意志の力。
自分で決める力。自分で決めたことをやり遂げる力です

この世は魂の成長の場
そのためには、感謝の気持ちを持ち、他の人を尊重し、信頼する
公平、平等な人間関係を築き、自然や動物、植物、物、与えられた時間を
大切にする…そういう人として生きるのに一番大事なことをまいに
日々の生活の中で伝えようとする。

こうして自然の中でおばあちゃんと過ごすうちにまいの心は次第に強くなっていく。

おばあちゃんは、いつも自分がその時やるべきことがわかっている
庭の雑草のように確かな日々を暮らしている

この本の中には、生きる希望もあるけれど、死のことを考えさせることも
忘れない。
良く死ぬことは、よく生きること。
お話はまるでメルヘンのようにきれいな世界なのに、いつも死の影はつきまとう。
それなのに、悲しいだけではなく、あたたかい。
字で書けば愛しいとかいてカナシイと読む感じでしょうか。


西の国から来た魔女は、私にベニシアさんを思い出させる
この頃、目も悪く、物忘れも激しくなってきたというベニシアさん。
生まれた国を離れ、でもそこにしっかり根を下ろし、今は体が弱ってしまっても
確実にこの国や私たちの心に何かを残した姿に重なります。

とても短いお話ですから、数時間で読んでしまえますが
心に残る名作。
映画で撮ってた家が清里で数年公開されていたそうですが、きっと今は
取り壊されているでしょう
映画見ればよかった。写真で見る家は、私が暮らしてみたいイメージピッタリのお家でした。
平屋だったらパーフェクトね。

本の中に、銀龍草や朴ノ木、ハシバミの木、野イチゴの畑など、自然がたくさん
美しく表現されていて読んでいるときにイメージが膨らみます。
逆に映画を見ていないから想像力が膨らむかも(笑)

おばあちゃん、大好き。この言葉ほんとに、世界で一番言われて嬉しい言葉です^^
胸がきゅんとして思わず涙ぐむ
おじいちゃんからのプレゼントの場面も愛おしいよ
沢山の人が読んだみたいで、この図書館の本、よれよれ。人気ですね^^









nice!(3) 

ハチドリのひとしずく [本]

またまた原田マハさんの一冊なのですけれど。
デトロイト美術館の奇跡
これは、財政危機に陥ったデトロイト市と美術館の存続危機の実話。
そして、読んでいるとき、唐突に“”ハチドリのひとしずく“のお話を思い出したのです。

このハチドリのお話は、実際に読んでみたのではないのですけれど、
どういうお話かは知っていて

山火事があったときに
小さなハチドリ(ハミングバード)が、水が一滴ほどしか入らない
くちばしで一生懸命水を運んで消そうとするお話。

ハチドリのひとしずくの感想にこんなことを書いた方がありました。

世の中を変えてきたのは
常にハチドリのひとしずくのような不屈の意思
どんなにささやかでも
たった一人でも、こうだと思ったら、やること。やり抜くこと。

デトロイトの奇跡を読んでいただくと、この言葉が心に染み入ります。
これは、2時間もあれば読んでしまえる本ですけれど、読後が温かくて、おすすめ!


ハチドリつながりで
最近地元にできたパフェ専門店に先週いってまいりましたので、ちょっとお知らせ。
美しい、大人のパフェです。

Collage 2018-08-24 22_53_20.jpg


写真載せますね。予約必至ですが、甘すぎず、丁寧な仕事です。

Collage 2018-08-22 22_01_27.jpg


季節のフルーツのパフェとチョコのパフェ。
もう少し涼しくなったら、モンブランのパフェもでてくるかな。
ワンちゃんが亡くなってしまって。。。悲しみの中にいるSUMAKOさん、
一緒に食べに行きましょ!

Collage 2018-08-22 21_58_42.jpg

nice!(3) 
共通テーマ:

原田マハにハマる [本]

こんな暑い夏は、もうひたすらエアコンの効いた部屋に閉じこもって
読書に限る。。。と決め込んで、図書館から借りてきた原田マハさんの
作品たち。

あらら、こんな素敵な作家さんの本を今まで読まずにいたなんて。

最初に読んだのが、あなたは、誰かの大切な人
そして次がジヴェルニーの食卓
立て続けに、楽園のカンヴァス
モダン
太陽の棘
キネマの神様

1962年に生まれ、小さい時からアートに親しむ環境にありMOMA や森ビルで
キュレーターをなさっていた経験から美術に関しての知識がすごい。


彼女の本を読んだ後は、また美術館を訪れるのが楽しみになる
そして、今日読み終わったキネマの神様にいたっては、すぐにも
映画館に飛んでいきたくなるような読後の興奮。
しかも、小さな、良心的な、例えば黄金町のJack and Bettyみたいな
映画館へ。

で、まだたくさん借りてきているんです。

そして、周りに勧めまくっています(笑)

Collage 2018-08-22 16_54_35.jpg

nice!(2) 
共通テーマ:

お勧めの一冊・・・ピエタ [本]

IMG_4105_1.jpg


久々にカメラを持って、大船植物園へ行ってきました。
あの日から初めて、外へのんびりと。

芝生では子供たちが遊ぶ声。
いいなぁ☆彡

この間図書館から借りてきて、久々に胸を熱くした一冊を今日はお勧めします。

”ピエタ”とは、あのミケランジェロのピエタではなく、孤児院の名前。

”ほんとうに ほんとうに わたしたちは 幸せな捨て子だった”

舞台は、18世紀のヴェネツィア。
”四季”の作曲家であるヴィバルディは、同時に司祭でもあり、孤児である
女の子たちの中から音楽的な才能に秀でた者たちを指導していた。
そして、ある時そのヴィバルディの訃報が届くところから物語は始まります・・・

語り手である、エミーリア。
親友で天才的演奏家のアンナ・マリーア。
高級娼婦のクラウディア。
貴族のヴェロニカ。

愛と欲望。運命に流されていく人々。
そして別々に思われた人物がやがて、一枚の楽譜を通して、一つの織物を紡ぎ
あげるように徐々に一つに結ばれて・・・

読み始めた時に、あら? 翻訳ものだったかしらと思わせるような内容。でも
翻訳ものにはない、心地よく滑らかな文体に、まるで自分が18世紀の
ヴェネツィアに迷い込んだような錯覚を起こさせられる。

そして、その登場人物一人一人の魅力的なこと・・・☆彡
カーニバルの夜の熱気の中、仮面をつけた不思議な世界で繰り広げられる
夢の中のような情景。
女性たちの、揺れる心、そしてうらやましいほどの思い切りの良さ・・・

作者はあくまで静かな語り口であるのに、登場する人たちに秘められた熱い志を
感じ、読み進むほどに胸が熱くなります。
この中でも、私が一番魅力的に感じたのは、聡明な高級娼婦クラウディア。

人は、生まれる時代、場所を選ぶことはできない。
報われない愛もある。でもそんな中で・・・

より良く生きるとは・・・
自分の与えられた場所で、運命を受け入れ・・・何をなすべきかを知ったときには
潔く、ためらうことなくそれを全うすること。
それを、この魅力的な登場人物達に教えられた気がします。

この物語はミステリー風な味付けもありますので、あまり詳しいことは
書きませんが、最終章、音楽と共に・・あなたを思いがけないほどの感動が包む
ことは間違いありません。
作者は、大島真寿美さん。極上の一冊です。

P3220009_1.JPG


おまけで、桜とトリさん。

sakura_1.jpg

nice!(21)  コメント(5) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。