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ロバート・キャパ / ゲルダ・タロー 二人の写真家

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5つの戦争を取材し、20世紀を代表する写真家、
”ロバート・キャパ”
その報道写真家の展覧会を横浜美術館で見てきました。

実はロバート・キャパというのは、ハンガリー出身のアンドレ・フリードマンと
ナチスが台頭するドイツから逃れてきた女性写真家タロー(ゲルタ・ポホリレ)
が二人で作り上げた架空の人物。
タローという名は、当時モンパルナスに滞在していた岡本太郎から
とったものだそうです。

パリで出会った二人は、1936年に、アメリカ人風の名前で
報道写真の売り込みをはじめますが
その年の夏、スペインで共和国軍と反乱軍の内戦が勃発。
共和国側に共鳴したフリードマンは、戦争写真家キャパとして
名を上げ、ポホリレは、タロー名義で写真を発表。
しかし、戦車の事故で彼女はわずか26歳の命を閉じます。

写真、といっても戦場の写真。
見始めた私は、やっぱり・・・悲惨な戦争の写真・・・と
正直少し気が重くなるのを抑えることができませんでした。

しかし、足を進めていくうちに、その気持ちに変化が現れ・・・

瞬間の中に物語を紡ぐ

場の感情を移しとる

勝者、敗者、双方の悲しみと怒り、
戦時、平時をとわず、そそがれるキャパ特有のまなざし。

その力にぐいぐいと魅かれていきます。

彼のデビュー作、”トロツキー”

”オマハビーチ、ノルマンディー海岸”

沢木耕太郎さんの新説で又脚光を浴びた”崩れ落ちる兵士”

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ドイツ軍協力者といわれたフランス人女性達が
頭髪を刈られたという・・・道に散らばる多くの頭髪・・・
ショッキングな一枚です。

タローの没後、恋に落ちたイングリッド・バーグマンの写真
ヘミングウェイ、ピカソとの豊かな交流

来日したときの日本の人たちの写真

”私には桜の花より、その下で生きている人々の方が魅力的だ”
”ステーションのホームには、庶民のありのままの姿が見られて
非常に面白い。
喜びも悲しみも包んで、人間の表情が狭いホームにうずまいている”

市井の人々の営み、子供達。
空気のようにそのものの雰囲気を壊さないように
撮影したそう。

前述の、沢木耕太郎さん説。
NHKで昨日コンピューターグラフィックを使った検証等で
これは、キャパではなくやはりタローの作品という可能性が
高い・・・といわれた”崩れ落ちる兵士”
ライカではなくタローが愛用していたローライフレックスという
カメラで撮られたと推論されています。

でも、ロバート・キャパは、もともと二人で作り上げた人物。
もし、それが事実であっても、彼にとっても思いがけない脚光であって
隠していたことで、キャパの輝きが失われることはないと
評価されていますし、タローさんは、決して天国で怒っては
いないでしょう。だって、きっと大好きな人だったのですから。

キャパ、ことフリードマンは、その後、ベトナムで地雷を踏んで
40歳の命を閉じます。

Slightly out of Focus   
ちょっとピンぼけ

ちょっぴりふざけた名前のこの本は、キャパのウィットにとんだ
魅力がいっぱいの回想録だそうです

横浜美術館で3月24日まで。
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向日葵

キャパが「実は2人だった」なんて、初めて知りました。

沢木耕太郎さんの昨日のNHKの番組は、録画はしたのですが、
まだ見られていません。(何時になるやら。。)

それにしても2人とも、短命dしたね。。

「天才ほど早く逝く」。。なんて言いますけど。。
by 向日葵 (2013-02-05 02:14) 

chichiの母

横浜のCP+に行った時、広告のポスターがありました。
すぐ近くだったので行けば良かったとちょと後悔。
by chichiの母 (2013-02-10 09:59) 

☆marilyn

向日葵さん、こんにちは!
録画はごらんになれましたか?
そう、本当に短命。
ああいった職業ですから、それも覚悟の上だったのでしょう。
でも、タローはわずか26歳。写真で見ても本当に若い・・・
惜しいですね。
by ☆marilyn (2013-02-10 17:57) 

☆marilyn

koh25さん、amaneさん、niceをありがとうございます!
by ☆marilyn (2013-02-10 17:58) 

☆marilyn

chichiの母さん、こんにちは!
その横浜のCPのイベントとセットでいったかたが
結構いらっしゃるんです。
まだしばらくやってますから、チャンスがあったら是非!
by ☆marilyn (2013-02-10 18:00) 

COLE

3月まで開催ですね、行ってみようと思います
by COLE (2013-02-18 06:20) 

みどれんじゃー

確かに気が重くなるテーマですね。
でも、何かを人に伝えられる作品ってすごいです。
写真って自分のための記録としてしか撮ってないもの(^^;
by みどれんじゃー (2013-03-13 19:04) 

moz

NHKの日曜美術館で見ました。
とても興味津々、写真もすごいなぁと思いました。24日までなんですね。タローのはまとまって見られるのは今回が初めてとか。やはり写真ってこういう迫力がないとダメなんでしょうね。見上げるような構図、光の入れ方、もう一歩踏み込む勇気すごいです。
by moz (2013-03-17 08:44) 

向日葵

「3月28日の記事」には「コメント欄」が無いので「こちら」にー。。

presents、大分前に読み終えました。
良い話ばかりあって、買おうか買うまいか、悩んでいます。

「3月28日の記事」
どのお花も実に素敵!


☆marilyn さんの画像は繊細で優美。
とても女性らしくて、かつりりしさもありますね。
by 向日葵 (2013-03-30 02:42) 

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